【サッカー】フェルナンド・レドンド：優雅さと知性を兼ね備えたピッチの支配者

皆さんはレドンドというサッカー選手を知っていますか？

レドンドは90年代から2000年代に活躍したアルゼンチン人のサッカー選手です。

ポジションはボランチで、優雅さと大胆さを兼ね備えたプレースタイルが多くのファンを魅了しました。

今回は、レドンドのプレースタイルや経歴などについて解説していきます。

レドンドのプレースタイル

フェルナンド・レドンドという名前を聞くと、多くのサッカーファンはピッチ上のエレガンスと知性的なプレースタイルを思い出すのではないでしょうか。

アルゼンチン出身のレドンドは、その卓越した技術と戦術眼で知られ、特に1990年代から2000年代初頭にかけて活躍しました。

フィジカルよりもテクニックを重視するスタイルは、現代では少なくなった種類の選手ですが、左利き独特のプレーリズムと身体を上手く使ったドリブル、そしてアルゼンチン人らしい勝利への執念から多くのファンに愛されていました。

レドンドの幼少期とキャリアの始まり

フェルナンド・レドンドは1969年6月6日、アルゼンチンのブエノスアイレスに生まれました。

幼少期からサッカーに魅了され、地元クラブのCAアルヘンティノス・ジュニアーズでその才能を開花。

1985年、わずか1５歳でプロデビューを果たし、その技術とゲーム理解力はすぐに注目を集めています。

ヨーロッパへの移籍と成功への歩みを始めたレドンド

レドンドの才能と評価はアルゼンチン国内にとどまらず、1989年にスペインのテネリフェへ移籍します。

テネリフェは当時、アルゼンチン人監督のホルヘ・バルダーノのもとスペイン1部リーグで戦う中堅クラブでしたが、レドンドの加入により中盤が強化。

1991−1992シーズンにはリーグ戦を4位で終え、UEFAカップ（現ヨーロッパリーグ）への出場権を獲得します。

その後、ホルヘ・バルダーノがレアル・マドリードの監督に就任するとすぐにレドンドの獲得をリクエスト。

1994年にスペインの名門レアル・マドリードへ移籍し、ここで彼のキャリアは頂点に達することに。

レアル・マドリードでの黄金期：偉大なキャプテンとなったレドンド

レアル・マドリードではすぐに中盤に欠かせない存在となり、知性的なプレーと正確なパスでチームを支えました。

レドンドはディフェンシブ・ミッドフィールダー（ボランチ）としてプレーしましたが、ゲームにおいては単なる守備に留まらず、攻撃の起点となることも多かったです。

特に彼のボールキープ力と視野の広さは試合のテンポをコントロールするために非常に効果的でした。

レアル・マドリードでは6シーズンにわたりプレーし、2度のリーグ優勝と2度のチャンピオンズリーグ制覇、１度のインターコンチネンタルアップ優勝を達成。

特に1999-2000シーズンのチャンピオンズリーグ、対マンチェスター・ユナイテッド戦で見せたヒールキックを使ったトリッキーなドリブルからラウールのゴールをアシストした場面は彼の最も有名な場面の一つで、この年のチャンピオンズリーグのハイライトの一つとなっています。

大会を通してフル回転したレドンドは、レアル・マドリード史上初となるチャンピオンズリーグMVPに輝きました。

レドンドの獲得した主なタイトル

レドンド在籍中、レアル・マドリードは2度のラ・リーガ優勝（1994-1995シーズン、1996-1997シーズン）を果たしています。

彼の安定したパフォーマンスとリーダーシップは、チームの成功に大きく貢献しました。1996-1997シーズンは、ファビオ・カペッロ監督の下での優勝となり、レドンドの中盤支配力が際立っていました。

FCバルセロナとの伝統の一戦「クラシコ」では、同じポジションであるグアルディオラ（現マンチェスター・シティ監督）との対戦も見どころの一つ。

長短織り交ぜた正確なパスでゲームをコントロールするグアルディオラに対し、抜群のキープ力を活かしたドリブルとショートパスで起点となるレドンドの対戦はいつもクラシコの楽しみの一つでした。

キャプテンとしてのレドンドの役割

1999-2000シーズンには、レドンドはレアル・マドリードのキャプテンに任命されました。

彼のリーダーシップと経験はチームにとって非常に貴重であり、若手選手の育成やチームの結束に大きな影響を与えました。

キャプテンとしての彼は、ピッチ上でのプレーだけでなく、ロッカールームでも重要な役割を果たしました。

レアル・マドリードからの退団したレドンドのキャリア

2000年、レドンドはイタリアのACミランへ移籍することになりました。

この移籍は、多くのレアル・マドリードファンにとって驚きと共に悲しみをもたらしました。

レドンド自身も、レアル・マドリードでのキャリアに深い愛着を持っており、この移籍は彼にとっても大きな決断でした。

レドンドがACミランで示したプロフェッショナリズム

惜しまれながらレアル・マドリードを退団したレドンドですが、移籍先のミランでは彼の技術と経験が大きな強化をもたらすと期待されていました。

しかし、移籍直後に前十字靭帯を損傷し、長期間の離脱を余儀なくされてしまいます。この怪我により、レドンドは復帰までに約2年間を要すことに。

この間、彼は懸命な復帰努力をするとともに、自身の給料全額を返還する意向を示しました。クラブやサポーターに対する彼の敬意と誠意は大きく称賛されています。

2002−2003シーズン、ACミランはUEFAチャンピオンズリーグを制覇。レドンド自身も怪我からの復帰を果たし、決勝でユヴェントスをPK戦の末に倒すことに貢献したのです。

レドンドのプレースタイルと特徴

レドンドのプレースタイルは、単なる技術やフィジカルに依存するものではなく、その知性的なゲーム理解力と戦術眼が際立っていました。彼の特徴を以下のとおりです。

1. 知性的なプレー

レドンドは常に次のプレーを予測し、最適な位置取りをすることでチームの攻守をコントロールしました。彼の視野の広さと瞬時の判断力は、試合の流れを読む力に優れていることを示しています。

2. 正確なパス

レドンドのパスは非常に正確であり、短いパスから長いパスまで多様なバリエーションを持っていました。彼のパスは単なる連携手段ではなく、攻撃の起点となる重要な役割を果たしたのです。

3. ボールコントロール

フェルナンド・レドンドはボールコントロールに優れており、相手のプレッシャーを受けても冷静に対処できる能力を持っていました。特に相手をかわすドリブル技術は、観客を魅了しています。

国際舞台におけるレドンドの活躍

アルゼンチン代表としても、レドンドは重要な存在でしたが活躍は限定的です。
1990年に初めて招集された際は学業（法律の学位取得）を優先して辞退しています。

1992年にA代表デビュー。アルゼンチンでの中盤の要「5番」として1992年のコンフェデレーションズカップ優勝、1993年のコパ・アメリカ優勝に貢献します。

1994年のW杯アメリカ大会に出場し、ギリシャ戦ではディエゴ・マラドーナの得点をアシストしましたが、マラドーナがドーピング違反で大会から追放されるなどの影響から、チームは決勝トーナメント1回戦でルーマニアに敗れて敗退しました。

1998年のW杯フランス大会では、パサレラ監督との意見の相違（トレードマークだった長髪を切るかどうかで揉めたと言われる）から招集を辞退することとなり、ファンにとっては残念な出来事となりました。

怪我と引退：レドンドのキャリアの終焉

レドンドはその後も度重なる怪我に悩まされ、2004年に現役引退を決意します。

彼のキャリアは、怪我との戦いが大きな部分を占めましたが、彼が見せたプロフェッショナリズムと献身は、ミランのファンに深い印象を残すことになったのです。

引退後の活動

引退後、レドンドはサッカー界から一歩引いた生活を送っていましたが、その後はテレビのサッカー解説や若手選手の育成などにも関わり始めました。

彼の経験と知識は次世代のサッカー選手にとって貴重な財産となっています。

レドンドのエピソード

• 妻は元アルゼンチン代表のホルヘ・ソラーリの長女。レアル・マドリードやアルゼンチン代表の後輩であったサンティアゴ・ソラーリとも親戚関係にある。
• 息子のフェデリコ・レドンドもプロサッカー選手で、2024年現在はレドンドの古巣でもあるアルヘンティノス・ジュニアーズに所属している。
• マルカが実施したレアル・マドリードの外国人選手ベストイレブン企画では、ジダンやフィーゴ、ラウドルップらと共にMFのポジションに名を連ねた。
• 1999−2000シーズンのチャンピオンズリーグ、対マンチェスター・ユナイテッド戦でのヒールキックを使ったドリブルとアシストは、レアル・マドリード史上最高のバックヒールに選ばれた。
• レアル・マドリードの後輩であるグティのアイドルであり、グティはレドンドを真似た長髪でプレーしていた。レドンドとグティはミッドフィールダー、左利きなど共通点が多い。

まとめ

フェルナンド・レドンドは、サッカー史において特別な存在となった選手です。彼のプレーは単なる技術やフィジカルを超え、知性と戦術眼に裏打ちされており、多くのファンを楽しませています。

彼がピッチ上で見せた優雅さと冷静さは、今なお多くのファンの記憶に残り、サッカーの美しさを象徴するものとして語り継がれています。

未来のサッカー選手たちも、彼のプレースタイルと姿勢から多くを学び、成長していくことでしょう。

ぜひ一度レドンドのプレーを目にしてみてください。きっと大好きな選手になると思います！